向井メンタルクリニック

メンタルヘルス徒然草

2009/12/13 日曜日

男と女 Un Homme et Une Femme No3「浮気主人(彼氏)を手のひらに乗せる:恋愛の精神病理学的考察」

「頭から湯気が出る」と昔からよく言われるが、実際、よし子さんB(仮名)の場合湯気が立っているように思えた。友人から聞いたとのことで,当院へお見えいただいた。
「旦那が浮気しているのがわかって腹が立って仕方がない、いらいらして仕方がない、何とかしてほしい、別れようかとも考えている」ということであった。ちょっとこれは人生相談に近いからお話を聞きながら、どうしようか考えていた。まあ、あまりの興奮があるので、いつもの「まあ、ちょっと頭冷やしに通ってみる~~~~」と、話を聞いてみることにした。ゆっくりと話を聞いてみると、「どうも別れるつもりはないらしい」。長年連れ添ったお二人を、何とか元に戻す方法はないか?
そこで、「ご主人を手のひらで、泳がして、見る気ない???」と聞いてみた。「エッ、そんな方法ある?」と半信半疑。とにかく「一度試してみる、それでだめやったら、別れたらええないの?」との私の提案に乗ってきた。
それはね、それはね「ゴニョゴニョゴニョ・・・#$%&‘()“#$  (企業秘密)  %&*+‘‘‘>????ゴニョゴニョゴニョ・・・」噛んで聞かせるように説明して、一度でいいから1週間試してごらん。しぶしぶ、半信半疑彼女は「試してみるわ!」とのことであった。
1週間後、不敵な笑顔で・・やってきた彼女、「先生!びっくりしたわ!うまいこといったわ!フフフフフ・・・(少し女の怖さを私は感じた)私、久しぶりに、迫られテン、ホンマ久しぶり・・・腹たってたから、拒んだろう、思ったけど、ヨウ拒まんかったは!」ちょっと、私が赤面するような内容。この後もね「どこか食べにいこ~よく外食に誘われるようになった」とのこと、この後ご主人の自慢話、違う方向で「湯気が出てますよ!」。「うまいこといったね~~~、旦那もう手のひらで泳いでるね・・・孫悟空と一緒、お釈迦さん(よし子)さんの手の中で泳いでるね、面白いやろ、別れんでよかったね・・・・」とよし子Bさんと二人で、旦那の行動をほほえましく、ほくそえみながらお聞きしている。何ともコケットな感じのかわゆい方である。
同様の方法で、夫婦の「離婚の危機」を解消したカップルがおられる、「帰るコールを毎日入れるようになったご主人:帰るコール亭主」「毎日定時に帰るようになったご主人:伝書鳩亭主」・・・・・・かなりおられる。
私は「世の中の、浮気ご主人方の敵」かな~、フフフまあいいか!仲良い夫婦続いてくれれば「意識障害」をさめさせずに「恋愛妄想」を続けるのもよいことか??意識障害も妄想も治す必要はないです!という結論。
たまには、精神病理学などと、わけのわからない学問も、世の中のお役に立てうるということです。

元気でね!お二人仲良くね!よし子さんB(仮名)旦那さん、君の掌の中でゴソゴソしても大丈夫、御釈迦さんの手の中の孫悟空みたいヤネ。
当然、この話はご本人の了解をいただいた上で、ご本人とわからない程度に変更してある。

2009/10/20 火曜日

男と女 Un Homme et une Femme No2「刷り込み:恋愛の精神病理学的考察」

  よし子Aさん(仮名)の表現は興味深く、大変、すばらしかった。うまい、なんとも言えず「男と女」の心の関係を衝いている。了承をいただいて、彼女の言葉を書いている。当然ご本人の個人情報は含まない程度に変更してある。 

 前回、古典的な精神病理学では、恋愛は「妄想知覚」か、あるいは「意識障害」に分類される話をした。標準的な精神病理学をかじった人なら、前回の理論構成で「恋愛の精神病理学」は終了する。  

 一方、よし子Aさん学説は、あの有名な動物学者コンラート ロレンツか、シートン動物記か? 

初めてよし子Aさんが当クリニックへ見えたとき、大変機嫌が悪く、「プリプリ、カンカン」怖かった。というのも、付き合っていた男性に別れ話を持ち出され、あまりの腹立たしさに暴れたところ、彼が当院を受診させたのだそうである。 

「まあ~まあ~、そう怒らんと~、数回、頭冷やしに来る~?」の私の言葉に誘われて、何回か当院にやってきてくれた。いろいろと話をする。うち解けてみると、なんと、チャーミングで聡明な人であった。 

数回目のセッションで、  「私もわかっているんです、あんな男のどこがいいのか、早く離かれたほうがよいのはわかっています。 でもね、先生、あれ(彼)はね、私の初めての男なんです、わかりますか、鳥の雛が孵ると、最初に見たものをズッと親と思い込むんでしょ、それなんですよ・・・{刷り込み:Inprint}とか、いうんでしょ、だから離れられないんですよ~~」。 

よし子Aさん、うまい!小説家?動物学者?精神科医? 

その後何回か、彼女はやってきてくれた。次第に落ち着いて暴れることもなくなった頃、 

「先生、雛もね、大人になるでしょ、そしたら、巣立ってゆくでしょ・・・私もその時期が来ているんでしょうね・・・・」と笑いながら話すようになった頃、彼女は当クリニックを、卒業というより「巣立っていった」。 

頭のよい人というより、人の気持ちのよくわかる人、中途半端な精神病理学者より「人間通:Menschenkoenner」!すばらしい自己分析・・・・フゥ~ム参った

よっちゃんA、今頃どこを飛んであるのかな~。元気でね!(仮名)

ご本人の了解をいただいたうえ、ご本人と同定できない程度に改変してあります。

2008/2/13 水曜日

7.心療内科の病気全般について:基本的な考え方:心理学との相違

心療内科でお手伝いする病気はおもに3種類あります。
1)   からだの病気がもとになって出現してくるもの(身体因)
2)   何か原因がはっきりしないが、どうも体の中の何かの異常が起こっている  が今のところ原因がわからないもの(内因)
3)   何か心理的につらいことがあってその反応として生じてくるもの(心因)
 例えば、広い意味での、「うつ病」「うつ状態」と呼ばれるような症状はこの1)-3)どのような原因でも生じてくることがあります。このため診断を考えてゆく際には、1)をまず疑い、次に2)最後に3)の順で考えてゆきます。これをたまねぎの皮むきにたとえて「皮むき診断:peel diagnosis」と呼びます。
 広い意味での「うつ病」について説明いたしましょう。
 1)の体の病気にもとづく「うつ」について、最近では、先の診断の項目でも書きましたように、心療内科を訪れる多くの患者さんは、その他の医院・病院さんで身体的な検査を受けてからこられます。実際当クリニックでは問診を十分にしておりますと、ほとんどの方が検査を受けてからこられていますので、前の病院の結果をお聞きするだけのことが多く、ご本人とも相談した上、血液検査などを行うことはほとんどありません。
 つまり2)と3)の違いを見る必要があります。この違いはかなり難しく、初めて受診された方から十分な問診が必要となります。ただし、慣れた「心の医者」ならば症状を十分お聞きすれば、その違いは大体の察しがつきます。それに応じて問診の仕方、方向性も変わってきます。
 2)の場合、いくら聞いてもそのきっかけとなるような出来事が見当たらない。ただし、これらにも例外的な患者さんたちがいます。例えば「昇進うつ病:職場で自分地位があがってうれしいはずなのにうつになってしまう」「燃え尽きうつ病:苦労してやってきた仕事が完成して、本来はうれしいはずなのにうつになってしまう」「婚約期うつ病:婚約してうれしいはずなのに何か元気が出ない、うつになってしまう」・・・・・こんな例はたくさんありますのでうつ病の項目で書いてみたいと思います。
 3)の場合「あ~そうか~、この人はこんなつらいことがあったんだな~」と自分の心に思い浮かべて「自分でもこんなことがあったらそうなるだろうな~」など、治療者が「お疲れ様です、ご苦労様でした」とお声をかけたくなるような共感できる事柄がある場合です。ただしこれも治療者の人生経験などによって大きく変わってきます。 例えば「子煩悩:コボンノウ」とカタカナで読めば、なんともない響きですが漢字で書けばなんと「子煩悩:なんと煩悩なのです:親子関係、子供に対する親の気持ちなどは、子供を持ってみなければわからないでしょう。
 こういった治療者の人生経験の相違によって、診断も治療もやっぱり変化するでしょう。
 このためわれわれ「心の医者」は、種々の人生経験を経てみる必要があるでしょう。

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