向井メンタルクリニック

メンタルヘルス徒然草

2012/6/1 金曜日

プロの生演奏:今度はバイオリン!!

よし子さんはプロのヴァイオリニストである。私はその方に疎いのであるが、有名な方らしい。そんな人がある日、突然、人前でヴァイオリンを奏でようとした途端、手が震えて弦が震えるようになってしまった。何とか無理に抑えようとすればするほど、手の震えはひどくなり、当然弦は震え美しい音が出ない。困り果てて当院にお見えになった。

 

症状を訊けば訊くほど、いつもの「逆説志向」の適応のある方である。

 

 

そこで、いつものごとく診察室で演奏の練習、初日は楽器を持参されなかったので、とにかく、弦に似た長い棒を引く練習をしてもらった。

 

やっぱり!! 震えないね~~~!

 

ご本人述「アッレ~ おかしいですね~、震えませんね~」心配ならば服用する程度のお薬を処方した。

 

宿題として「震える演奏」を練習してくることにして、次回は実際の楽器を持参して当院で「震える演奏」をして頂くことにした。

 

1週間後実際の生演奏、すごいね~ 素晴らしいね~ 音痴の私が感心した、たったこんな小さな楽器なのに、こんなに大きな音で、なんて深いコクのある音なんだろう、と感動している私をよそに、彼女の手は全く震えず治療は完了した。

 

お薬は使用しなかったとのことであった。困れば来院して頂くことで当院を卒業いただいた。

 

 

プロの渾身の生演奏を聞かせていただいた。生演奏は一回で終了、治療も終了、もう、一回くらい聞かせてほしいな~と思うのであります。

 

 

たまには役得というものであります。いいなあ~ヴァイオリン

「友白髪の会」

「あっれ~~こんなとこ、白髪生えてる、ヒャーヒャーホホーッホホーッ」とおどける彼の声を聞きながら何となく複雑であった。この人、仕事しているとき、あんな難しい顔してるのに、こんな楽しそうな声もだすんだ。

 

白髪といっても「白毛」がただしいだろう。彼が見つけなければ、一生、誰にも、自分にさえも見つからなかったであろう「白い毛」。

 

もうそんな歳になってまったのか。子供を育てることに一生懸命、母であることに、がんばってきた。「女」であることを一歩引いて。

 

もうすぐ子供たちも独立、なんか「人生って不条理」だと思う。

 

 

「友白髪の会」やね、ガハハと、彼は笑う。彼も自分と同じ年頃に、同所にやっぱり「白い毛」を見つけたという。

 

抜いてやろうと思ったら大変痛かった、やっぱり切ることにした、鏡にうつして、キャ~ 変な格好やわ~、子供に見せられ変わ!切りにくいな~~。

 

 

彼がつぶやく斉藤茂吉の歌、

 

ミュンヘンにわが居りしとき 夜ふけて陰(ほと)の白毛を切りて棄てにき

 

いきどほり 遣(や)らはむとする方(かた)しらず 白くなりたる鼻毛 おのれ抜く

 

(斉藤茂吉)

 

 

「茂吉さん、きっと、この毛、抜いてやろうとひっぱたら、痛くて腹立って、鼻毛ぬいたんやワ、そしたら、また、痛かって、腹立ったんやわ~~ それで切ることにしたんやわ。」

 

「なんや、こんなことわかる歳になってしもたな~~、なんか腹立つわ、見つけんでもええのに!」次ぎに逢ったら、たくさんごちそうしてもらおおう~っと。

 

当然ご本人の了解はいただいているが、本人が特定できない程度に変更してある。

 

 

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