作業せん妄

「さぎょうせんもう」と読む。アルコール依存症の人たちがアルコールが身体から抜けて行く際に、うまく醒めずに夢のような状態が続く事がある。人はこのような病気の夢の中でも作業すなわち、仕事をするのである。

前回、「行路者2」の中で触れたおじさん、この人は建設作業がお仕事であったようで、作業せん妄の中で一生懸命仕事をした。一晩かけて病棟のトイレを撤去する作業をした。スタッフも止めてくれたが、やっぱりご本人の「本業」である、夢とはいえ手際が良い。かなりのダメージがあった。

認知症のお年寄りの精神症状に、やはり夜間せん妄というのがあり同様に作業をする。料理、洗濯・・・・・日常の仕事する。

ある先生から聞いた話

ヤクザの人が、せん妄になった。夢の中のような状態、つまり中途半端な意識障害の下であるので、周囲のの状況はっきり分からず、入院しているとは思っていないので、医者、看護師など医療者の言うことなどどこ吹く風、日頃の「本業」である「周囲の人を怖がらせる」仕事をしていた。ある日この人の見舞いに親分がやってきた、親分の一言「コラ?」で「作業せん妄」は一瞬にして、止まってしまったとのことであった。親分子分の関係は、病気より強いのである。薬よりも強い。

結論;人間は働き者なのである。