Munk(ムンク)の「叫び」

Munk(ムンク)展が兵庫県立美術館で2008年1月19日から始まったのでさっそく見に行ってきた。(4月21日ではもう終了しているので注意してください。)

 残念ながら有名な「叫び:Geshrei(独語:ゲシュライ)」はなかったように思う。昔、ある大学で講義をしていたとき、統合失調症に関して、Munk「叫び:Geshrei(独語)」という作品について話をした。学生に聞くと、多くがあの奇妙な顔のおじさん?が叫んでいるのだと思っていることがわかった。同様にかなり以前のこと、ある放送局のラジオコマーシャルで「コンピューターを用いて、あのおじさんの骨格から考えられる、叫び声を再現したという声」を放送していた。今でも忘れられないあのこっけいな声、なんと!おじさんはかなり低い声で「ホッ、ホッー!」を叫んでいるのだ、そうな!最近の日経新聞にも取り上げられ、この「叫び」の絵の話であのおじさん?が何を叫んでいるのだろうという問いに、ある子供は「キャー、かつらが飛ぶー」と答えたそうな。一部の学者にはこれは「幻聴が聞こえる」ので怖くて耳を押さえているのだという人もいる。?

 フム!名画は種々の解釈ができる!!

 Munk自身は、このモチーフでたくさんの作品を描いていて、ストックホルムの名前は忘れたがある小さな美術館にある小さな作品の中に、メモのようなものを次のように記している。「Ich fuehlte das Gescrei durch die Nature.」(ドイツ語のウムラウトという字がないのでfuehlteは ueでご勘弁ください。) つたないが訳してみると「私は自然から叫びを感じる」と書いてある。?

? 統合失調症の患者さんたちのひとつの症状として妄想気分というものがあり、「周囲の何か異様な雰囲気、何か自分の周囲で奇妙なことが起こっているような感じがする、自分の周囲が奇妙に変化してしまう」といった症状を感じる人たちがいる。難しい言葉で言えば「実存の危機」と言うらしい。病気でない人たちには、決して感じることのできない、理解できない恐怖・不安らしい。?

 Munk統合失調症という病気に罹ることによって、この作品を生み出した。?